労働関連法務

 A労務派遣の使用範囲の制限への対応
 定義が明確化されましたので、定義通りに三性(臨時性・補助性・代替性)を満たす必要があります。
 また、労働者全体に対する派遣労働者の比率については特に注意すべきです。今後公表される数字は相当程度低くなる可能性があるため、その公表に注意すべきとともに、低い数字が公表されることを想定した対策が必要です。 なお、他の要件は解釈が入り込む余地がありますが、比率については、数字であり解釈が入り込む余地がなく、客観的に判断されますので、当局が最も取り締まりやすい要件だとも考えれます。

  B利用する派遣会社が違法状態の場合のリスク
 派遣会社が営業停止になり、労働者の派遣が停止されるリスクが考えられます。また、派遣会社が違法状態であることを知りながらあえて利用するなどしていた場合、派遣先企業も罰則の対象となる可能性も否定できません。
 なお、施行前から既に営業している派遣会社の場合、2014年6月30日までは改正法の要求する労務派遣業の要件を満たさなくとも営業が可能なため、現在利用中の派遣会社が2014年7月1日以降、突然、営業停止になるという事態も考えられます。
 今後は、どの派遣会社を利用すべきかを慎重に見極める必要があるでしょう。
 また、上記のようなリスクを想定して、いざという場合に派遣会社に責任を負わせる契約条項等を検討する必要もあると思われます。

直接雇用への切り替え
 以上のとおり、今後も労務派遣を利用し続ける場合には、改正法の要件を満たす必要があるため、労務派遣から直接雇用への切り替えを迫られるケー スも多いと思います。また、派遣労働者の比率については、公表される数字次 第では、ほとんどの企業において直接雇用への切り替えが必要になることも考えられます。
 そこで、直接雇用について、デメリットと思われている点とその考え方について、以下のとおり整理しました。

  ・賃金等のコストの上昇
 コストを抑えることを目的として、労務派遣を利用するケースも多かったのではないでしょうか。その場合、直接雇用への切り替えによりコストの上昇を懸念する企業も多いことと思います。
 しかし、改正の趣旨からすれば、少なくとも、直接雇用と派遣労働者の雇用形態の差を以て待遇格差を設けることは困難です。したがって、従来と同じ仕事内容を派遣労働者にさせるケースでは、たとえ、労務派遣を利用したとしても、コストが上昇せざるを得ない可能性があると思われます。
 また、労務派遣を利用する場合、当然、労務派遣会社に対する費用も発生しますし、労務派遣契約の中には、経済補償金の支払いを派遣先企業に負担させる条項が含まれているケースもありますので、必ずしも、派遣会社を利用する場合の方が直接雇用よりもコストが低いとは限らないと思われます。

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