現行の婚姻法及びその司法解釈は、無効な婚姻に対しては宣告制度、脅迫婚姻に対しては取り消し可能な制度、合法結婚に対しては離婚制度のように異なる婚姻で発生したトラブルに対しての処理方法も違う。
“騙し婚”は訴訟を通じて離婚するしかない。
中国「婚姻法」第32条の規定では、人民裁判所では、夫婦の感情が破裂し、調停しても無効な場合のみ、離婚を承認するとしている。婚姻法第32条からみると、感情が破裂することは離婚の唯一の条件である。騙し婚案件では、詐欺者がお金を騙し取る目的であり、騙された人とは全く感情がないため、感情が破裂するとは言えない。騙された人が財産を返して欲しいと訴訟を提起した場合はどのように法律を適用するのか?
中国「婚姻法」第3条の規定では、婚姻でお金を騙し取ることを禁ずるとされている。中国「婚姻法解釈二」第10条の規定では以下の状況に当たる場合は結納などを返却するとしている。
1.双方が婚姻届手続きをしてない場合
2.婚姻手続きをしたが、まだ一緒に生活してない場合
3.結婚前に給付した事により、給付者の生活が困難になった場合
その内2項と3項の規定は離婚を条件にしなければならない。
騙された側は「そのことにより生活が困難になった」事について証明できなければ、財産の返却の訴訟請求が支持されない。
現行の法律で“騙し婚”は無効な婚姻でもないし、取消可能な婚姻でもないので、婚姻法の中の合法的な婚姻になるしかない。中国の立法機関がいち早く“騙し婚”に対して罰せられる法律を建て、被害者の利益を保護するようになることを望んでいる。
数多くの“騙し婚”が存在するが、「刑法」では騙し婚罪がない。
中国の「婚姻法」、最高裁の「婚姻法司法解釈」、「刑法」では、合法的な婚姻形式で他人の財物を騙し取る不法行為に関する罪について明確な条文規定はない。数多くの犯罪者はこの法律の穴を利用して、合法的な婚姻形式を用いて他人の財物を騙し取るのである。
中国国内の婚姻の中で、事実上の“騙し婚”現象は農村で始まったが、現在は大都市まで及んでいる。中国の経済発展と伴い、不動産の価値も右上がり状態であり、近十年以来、北京、上海、深セン等大都市の女性は彼氏が所有している不動産に自分の名前を加える条件で結婚登記手続きをするのである。中国の法律によると合法的な手続きによって取得した不動産の半分は彼女らの財産になる。彼女らは結婚後にいろいろな理由を付けて離婚をする。ND事務所が処理した案件の中で、ある女性が自分の名前、両親の名前を婚約者が所有している不動産に加える条件で結婚登記をし、2ヶ月後に裁判所に離婚を提訴した。この案件の中で、前後半年もしてないうちに合法的な婚姻の手段(実質上“騙し婚”)を利用して夫の市価300万以上もする不動産の3/4を取得したのである。中国の法律上は“騙し婚罪”がないので、夫は法的に彼女及びその家族の刑事責任を追求できない。
上海市の数多くの国際婚姻の案件の中では“騙し婚”現象は非常に深刻である。ND法律事務所が処理した案件を分析すると、国際婚姻の“騙し婚”の目的は只の金銭目的ではなく、移民、ビザ、出国等の目的でもある。国際婚姻の中の“騙し婚”者の責任を追求するのがもっとも難しくて、“騙し婚”に関する証拠が十分だとしても警察は“詐欺罪”として処理することできないので、被害者に離婚訴訟を提起するように説得するのである。国際婚姻の離婚訴訟の手続き上は非常に複雑で、さらに“騙し婚”の一方がいろいろな方法で裁判所の審査に応じないので、離婚するのに時間がかかるし、訴訟コストも非常に高い。
(無断転載禁止)
〒 200001
上海市延安東路55號工商聯大樓32F
日本業務担当:阿爾泰 (アルタイ) Altai
携帯:(0086)-138-1788-5788
(24時間日本語対応)
E-mail:altai@nuodilaw.com>