日本人の中国現地採用で解雇された場合の自己権益主張
会社側に正当な理由なく解雇され一年半かけ、5回訴訟で勝訴した案例
当事者:
原告:○○一郎、日本国籍 代理者:上海ND法律事務所
被告:○○(上海)有限公司 日系企業独資上海子会社
事実関係:
双方労働契約期間:2009年10月1日〜2010年9月30日、試用期間:2009年11月30日まで
試用期間満了前7日以内に書面により採用非を通知する条件あり
(上海で働くという口頭の約束があり、契約書にはない)
試用期間満了の直前に会社側が広州子会社に長期滞在してという要求があり、原告が断ったため、2009年11月27日に会社側が正式に採用しない通知が出して、“双方合意”という中国文字のある社内支給品返済リストにサインさせ、解雇になりました。でも原告が中国語をわからないため、法廷に被告の代理弁護士がこれを提示するまでにこのサインの意味について一切無知だった。
一回目訴訟:労働仲裁
訴訟請求は労働関係を回復、もしくは一方的な解雇による経済補償金および日本から入職による経済損失の支給
結果:労働仲裁は社内支給品返済リストの“双方合意”を採択し、原告が解雇を認めたとみなし
弁護士意見:
労働仲裁は証拠の形式要件を重要視し、当事者の本来の意思および事実関係を全面的な調査をしなかったため判断が異なったでしょう。
二回目訴訟:人民法院(裁判所)(一審)
一回目労働仲裁と同様の訴訟請求
結果:人民法院は被告代理弁護士が労働関係の回復を同意したため、労働関係の回復を命じ、その他の請求を支持せず
弁護士意見:
全面的に勝訴できなかったが、会社側が労働関係の回復を認めたのは部分的に勝訴と考えてもよいでしょう。
三回目訴訟:労働仲裁
訴訟請求は、人民法院から労働関係の回復を命じられたのに労働関係を回復しなかったので訴訟期間中の給料および経済損失を支給
結果:会社が労働関係の回復を認めても、解雇は正当と判断したため原告の請求を支持せず
弁護士意見:
「上海市企業給料支給方法」第23条に会社と従業員が労働争議により訴訟になり、会社の決定事項(社令など)が労働仲裁や人民法院に否定された場合、会社は訴訟期間中の給料を支払わなければならないという規定があります。
四回目訴訟:人民法院(裁判所)(一審)
訴訟請求は、人民法院に労働関係の回復を命じられたのに労働関係を回復しなかったので訴訟期間中の給料および経済損失を支給
結果:全面勝訴;人民法院(裁判所)は、社内支給品返済リストに“双方合意”という文字があってもそれが原告の本来の意思ではないことを認め、解雇は会社の一方的な原因のため、「上海市企業給料支給規定」第23条に基づき、訴訟期間中の給料を全額に支払うよう命じた。
五回目訴訟:人民法院(裁判所)(二審)
被告側の上訴請求は、一審の事実関係認定がはっきりではないため、一審取消申請
結果:二審人民法院は再調査し、事実関係がはっきり、法律適用が正確のため一審維持
弁護士まとめ:
※意味不明や把握できない書類にサインしないこと
※労働契約書に職場、職種、勤務時間、休暇、給与などを詳しく決めて書いておくこと
※裁判所に会社決定が否定される場合、労働争議期間中の給与を全額支払い
※労働紛争あり次第、直ちに弁護士と相談
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